子授け観音と千匹絵馬のお寺
  • 梅花講

 龍湖山 方外院

〒409-3107 山梨県南巨摩郡身延町瀬戸135

沿革・年間行事

歴史や由緒

 方外院は、貞治元年(1362年)に、南明寺(山梨県富士川町)の3世・梅林禅芳和尚によって開創されました。当初は本栖湖(富士五湖の1つ)のほとりにあり、山号の「龍湖山」も本栖湖に由来します。

 戦国時代、甲斐の武田信玄公が三河へ出陣のおり、本栖湖の付近で雷雨が激しくなり軍を進めることができなくなりました。その際、当院の観音様に祈願したところ、たちまち雷雨が晴れ、無事に三河に向かうことができました。信玄公はこの仏恩に感謝し、観音様を厚く保護したと伝えられます。

 その後、武田家の滅亡の混乱や本栖湖畔の村々の衰退などにより、慶長2年(1597年)、当院は現在の地(山梨県身延町)に移されました。

 江戸時代には、全国的に観音信仰や巡礼が盛んになる中で、当院も甲斐三十三観音霊場の1つとして人々の信仰を集めていました。

 江戸時代末期、当地は米の不作に苦しんでいました。その時、観音様のお告げに基づいて巨大な千匹馬の絵馬が作成され、明治5年(1872年)に奉納されました。それ以後、米は豊作が続いたということです。


本栖湖と富士山

ご本尊

 当院のご本尊様は如意輪観世音菩薩様です。平安時代末から鎌倉時代の作と伝えられており、県の文化財に指定されています。

 観音様は、人々のあらゆる悩みを聴いてくださる仏様ですが、当院の観音様は特に子授けのご利益があります。

 秘仏の観音様ですので、普段はそのお姿を拝見することができません。毎年3月18日の一日だけご開帳されます。

年間行事

■観音大祭(毎年3月18日)

 ご本尊の如意輪観音様が、毎年この一日だけご開帳されます。当日は、観音様の信者、子宝などの祈願をされる方、仏像に興味をお持ちの方などがお参りに見えます。

 また、当日午前11時からは本堂にて祈祷法要が行われます。ご本尊様に祈願されたい方は、お名前や祈願内容などを前もってご連絡ください。

 なお、ご開帳は朝から夕方まで一日中されていますので、ゆっくりとお参りされたい方は午後にお越しになることをお勧めいたします。

祈祷法要の様子

■施食会(毎年8月10日)

 施食会(せじきえ)は、昔は施餓鬼会(せがきえ)とも申しておりました。飢えに苦しむ者を救うために施しをし、自分以外の生きとし生ける一切の衆生に思いをはせる行事です。

 当日は多くの檀信徒が集まり、法話や施食会法要が行われ、檀信徒のご先祖様や三界万霊等をご供養いたします。

施食会法要の様子

文化財文化財

■如意輪観音(県文化財)

 当院のご本尊様でもある、木造如意輪観世音菩薩坐像です。

 平成2年6月28日に、山梨県の有形文化財に指定されました。寄木造で、平安時代末から鎌倉時代の作と推定され、像高は約90cmです。子授けのご利益があり、「瀬戸観音」の名称で親しまれています。

 秘仏ですので、普段はそのお姿を拝見することができません。毎年3月18日の一日だけご開帳されます。

■千匹馬の大額(町文化財)

 当院の本堂に入って正面に掲げられているのが、千匹絵馬です。昭和61年に身延町の文化財に指定されました。

 大きさは、横19.42m、縦2.24mあり、その大額に千頭近い数の馬が描かれています。

 由来は、江戸時代末期、近隣の住人が飢饉で米の不作に苦しんでいた時、ご本尊の観音様から「馬の霊が飢えて稲を食べてしまっているから、一匹ずつ馬を奉納しなさい」というお告げがありました。そこで千匹馬の大額を奉納して祈願したところ、翌年から豊作になったと伝えられています。

 絵馬の記述によると、奉納されたのは明治5年(1872年)のことです。

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