■札幌薬師大仏について
大昌寺四世 佐藤照禅住職が、長年にわたり保護司や小学校のPTA会長等の役を務めた体験から、青少年の生命尊重、人間尊厳の自覚の欠如や自然界の恩恵、先祖への感謝の喪失など家庭や学校や地域社会のあり方に危惧の念を抱き、やすらぎの空間の必要性を痛感していたことに端を発します。奈良や鎌倉の大仏に因み、国や人種や宗派を超えて、いつでも誰もが手を合わせることのできる大仏様をと、身心の病の救済を冀う象徴として平成15年に遠近から崇められる露坐の薬師大仏の造立を発願しました。
薬師如来は古くは「医王如来」とも呼ばれ人々の病気の苦しみを癒し、安楽を与える仏様として親しまれました。『南無薬師瑠璃光如来』の名のとおり、そのお姿は瑠璃のように清浄で日や月よりも明るく世界を照らし、身体の病だけでなく心の中に渦巻く不安や苦しみからの救済を願っておられます。
平成18年に曹洞宗大本山永平寺副貫首であられる御本寺札幌中央寺御住職 南澤道人老師の御法援を得て、法相宗奈良薬師寺御本尊 国宝「薬師瑠璃光如来」を勧請し、設計施工を東京浅草 株式会社翠雲堂に依頼、仏像彫刻家 鏡恒夫氏、そして奈良国立博物館 元館長の西川杏太郎氏と鷲塚泰光氏の監修のもと原型制作が行われ、その後山形市 株式会社鈴木鋳造所にて造立、平成21年に大昌寺境内へ搬入設置工事が行われました。
平成24年法相宗大本山薬師寺元管主 安田暎胤長老により開眼法要が執り行われ、日本の伝統技術が北の大地に集結し北海道で初めての純青銅製大仏がここに完成したのです。